輪屋について

天津中医薬大学日本校 准教授
扇町漢方クリニック 医務局長 谷本篤志

 

前回に引き続き、アレルギー(特にアトピー性皮膚炎)について書かせていただきます。

前回の「輪屋通信」以降に、たくさんのご相談をいただきました。
ご相談では、ご本人と直接に対話し食事法などの指導するなかで、ご本人が現状の身体に影響している要因を知り、根本的に改善できる方法を理解し、改善するべく日常生活の中で実践できることをお話させていただいておりました。
特に、アレルギー性皮膚炎の症状では「痒い・痛い」という今の身体の苦痛を和らげることを切望されることが痛いほどわかります。
今回は、皮膚の痒み、痛みなどの不快症状への手当法を書かせていただきます。
しかしながら、根本的な解決法は飲食にあり、食事法の改善と共に取り組むことで、根本的な改善に導いてくれるものだということを前提に書かせていただきます。

 

まず、食事面からチェックする際には、前回にも記載しました以下の点を見直しましょう。

食事面のチェックポイント

・動物性食品の過剰摂取
牛肉・鶏肉・魚(生魚)牛乳・チーズなど 動物性は脂肪にも注意しなければいけません。 穀物中心な日本伝統食をおススメします。
・砂糖の過剰摂取
菓子・清涼飲料・白米など 飲料は水(軟水)、番茶、ほうじ茶などをおススメします。
・乳製品の過剰摂取
牛乳・チーズ・ヨーグルト・アイスクリーム・菓子類
過食による腸内腐敗
「少食・咀嚼」 を実行する。
また、食事のリズムも考えましょう。特に夜の食事は内臓への負担となります。
その他
化学調味料・食品添加物には注意を払う。

アトピー性皮膚炎の手当て

アトピー性皮膚炎のかゆみや発疹は、内臓にたまった毒素(食毒・血毒・薬毒)が原因です。

これを改善していかないと、アトピー・アレルギーの根本治療にはつながらず同じことを繰り返してしまいます。

しっかりと根本的な歪みを見直しながら現状のアトピー性皮膚炎の状況にあったアドバイスを参考にしてください。

icon_1.gif 患部がカサカサして痒いとき

肉、卵、魚の過食が原因と考えられます。

背中に症状が出ることが多く、掻くと粉をふいたようになって皮膚が割れてきます。

飲食手当法

「みかん果汁」や「野菜ジュース(青汁)」などを飲用します。

みかんなどの柑橘類は、動物性タンパク質を分解する効果があります。オレンジジュースでは、効果は期待できませんので国内産の「みかんジュース」をおススメします。

また、動物性食品が身体に影響しているような場合は、「腸洗浄」も早く腐敗タンパク質を処理する為にも効果は期待できます。しかし「腸洗浄」はやり過ぎないように気をつけましょう。

皮膚の痒みへの手当法

生姜油(生姜の絞り汁 1:1純正胡麻油)

ドクダミ草・ヨモギ草の煎じ汁での皮膚へのパッティングも効果があります。

補足説明
ヨモギについて

キク科の多年草で、日本各地の山野や道端に自生する大変強い野草です。葉は、キクの葉の形に似ていて、裏面に灰白色の綿毛が密生しています。

こ れを集めて精製したものが「艾(もぐさ)」としてお灸の治療に用いられるため、別名「善燃草」(よもぎ)といわれます。また、『艾葉(がいよう)』とも呼 ばれる由縁は、“疾(やまい)を艾する(止める)”という意味を持つとして、中国では毒気、邪気を払う力があるということからのようです。

解熱、利尿、通経、去痰、補血、浄血、腹痛、婦人科領域の止血や流産防止に用います。

夕方以降に微熱感を感じる人がいますが、冷房などで正常な体温上昇を軽減させると、体内で発生する熱が皮膚表面で発散せずに、熱が鬱してしまい、なんとなく風邪でもないのに微熱感として感じるようになります。艾葉をお茶として飲用すると、身体はすっきりとするでしょう。

ヨモギの使い方

胃腸虚弱、貧血、月経止血: 5~10gを水400~500ccで煎じ、1日2~3回服用する。
腹痛、流産防止: 5gを水400~500ccで半量まで煎じ、1日2~3回服用する。
腰痛、痔の痛み: よもぎ風呂として、艾葉300gまたは生葉600g~1kgを木綿の袋に詰め、沸かす時に入れて入浴する。外用として使う場合は、痛みのある患部(腰・膝・肩など)に生葉を洗って張り、上から生姜シップで温める。

(「身近な薬草の活かし方」谷本篤志 著より引用)

icon_2.gif 患部がジクジクして痒いとき

砂糖と魚・スナック菓子(小麦)の過食が原因と考えられます。

膝の裏、腕の内側、腋(わき)など皮膚の柔らかいところに肌汁(膿うみ)が出て、乾くと黄色くなります。同時に肌汁の臭いなども目立つ場合があります。

飲食手当法

「椎茸スープを」飲用します。また、副食に干物を摂ることもいいでしょう。

「椎茸スープ」の作り方

干し椎茸…2枚
水…300cc
醤油…小さじ1杯 (天然醸造)

水に干し椎茸を入れ、水の量が200ccほどになるまで煮詰める。
干し椎茸は天日乾燥させた「冬茹(どんこ)」が理想的です。
冬茹とは、晩冬から初春の気温の低い時期にゆっくり育ち、傘が開く前に収穫された肉厚のある椎茸です。

仕上げに醤油を小さじ1杯加えて、飲用する。
醤油の量は、基本的には飲んで『おいしい』と感じる程度で結構です。また、「椎茸スープ」に使ったあとの椎茸は、佃煮などにしてお召し上がりください。

機械乾燥した干し椎茸は、天日で再度乾燥させることで、ビタミンDの含有量が増えます。30分~1時間程度の天日乾燥で、ビタミンDの含有量が10倍ほどになると言われています。椎茸を裏返して日光に当てる方がより効果的ということです。

icon_3.gif 赤い発疹が出て痒いとき

大豆や卵、肉、牛乳が(アレルギーの原因物質)原因と考えられます。 掻いても化膿しませんが、乾くと赤黒くなります。

飲食手当法

「第一大根湯」または、「葛入り梅醤番茶」

肉や魚の毒素(たんぱく質)を吸着・分解する大根と、抗炎作用のある生姜、血行を促進する醤油が相乗効果を発揮します。葛は、整腸作用と潤腸作用を持ち排毒にも作用してくれます。

「第一大根湯」の作り方]
  • 大根おろし…大3杯
  • 生姜…少々
  • 醬油…大2杯
  • 三年番茶…400cc

大根と生姜おろしを湯のみ又は、器に合わせていれる。

醬油を入れ、熱い番茶を加え服用する。

発熱以外で飲用する場合は、一気に飲まず数回に分けて飲用する。
飲用後、発汗或は一時的に発赤がでることがあります。

皮膚の痒みへの手当法

「ジクジク・赤い発疹」の時に使用できる手当法として薬草を活かしての手当法を紹介します。

松葉の入浴剤
  • 松葉…30g
  • 水…1リットル

布袋に入れた松葉を約1リットルぐらいの水と一緒にお鍋かやかんに入れ約15~20分程煮出し、煮出し終われば布袋ごと浴槽に入れて下さい。(入浴中に布袋を揉むと成分がよく出ます。)

ジュクジュクがひどい場合は患部へパッティングしてみてください。

 

薬草の入浴剤の注意点

お風呂から出る時には必ずをシャワーで洗い流して下さい。 薬草のエキスが身体に付着したままにしておくと人によって症状がひどくなる場合があります。

当日使った薬草の湯は翌日には使用しないでください。 当日使った入浴剤は必ず入浴後に処分してください。

お風呂の残り湯を洗濯機で使用する場合は衣類に薬草の色が付着する場合がありますので注意してください。